住宅への地球温暖化対策普及に向けて
2022年7月12日
小杉 康寛
環境問題への関心についての調査では76%の方は関心があると回答し、
・50~60代は特に関心度が高い
・環境問題の中でも気候変動・地球温暖化の関心度が高い
という結果から、50~60代では特に温暖化対策の必要性についての意識は高いと想定される。
家庭からの二酸化炭素排出割合
家庭から排出される二酸化炭素のほとんどは、電力、ガス、ガソリンの消費からきており、電気の使用量や自動車の利用量を減らせば、家庭から排出される二酸化炭素の量を大きく減らすことができる。
各家庭では節電や公共交通機関の利用や徒歩に切り替えるといった対策を行っている家庭はあるが、大幅な削減につながる成果にはつながっていないのが実情である。
電気自動車の効果
電気自動車は走行時にCO2を排出しないため、環境対策として重要な役割と
して語られることが多いが、充電時の電気は電力会社の電気を使っており、電
気の75%は化石燃料に依存しているため、真の温暖化対策とは言えない状況に
ある。
広島市のレポートでは、ハイブリッド車の方が電気自動車よりCO2排出量が
少ないという結果が出ている。
電気自動車の販売動向
現状における電気自動車の販売台数に占める割合はまだまだ普及途上ではあ
るが、2030年の日本の削減目標に向けて、自動車メーカーは続々と電気自
動車の開発、販売を拡大することを表明していることから、今後普及が加速し
ていくことが見込まれる。
電気自動車の新車販売台数に占める割合について、ボストン・コンサルティ
ングのレポートによると、2030年には全体の半数以上の51%を占めるまでに増
加すると予測されている。
蓄電池の動向
蓄電池は、2019年から固定買取制度(Fit制度)が終了する家庭が増えてお
り、固定買取制度が終了すると同時に蓄電池の普及率が上がっていることが特
徴である。
この理由としては、更新となる買取価格が電力会社の単価よりも安く、自家
消費した方がコスト的にメリットがあるためである。
蓄電池の日本での普及率は2018年と2019年を比較するとおよそ2倍に上がって
おり、今後も増え続けることが予想されている。
ただ、蓄電池に使われるリチウムイオンは価格がかなり低下してきたもの
の、今後大幅な低下は期待できない状況にはある。
災害対策にも
災害時に停電となった場合にも、昼間太陽光発電で発電した電気を電気自動
車に蓄電しながら使えるため、蓄電容量が許す限り屋内の電気製品を使うこと
ができ、近隣住民へのスマートフォンの充電などにも活用できる。
また、昨今の電力逼迫時においても、電気自動車から電気を供給することに
より、節電要請にも対応が可能である。
V2Hとは
V2Hとは「Vehicle to Home」の略で、電気自動車等の電力を家庭用の電力供
給源として利用すること。
V2Hの機能としては、太陽光で発電された交流の電気を電気自動車に蓄電す
るために直流の電気に変換したり、電気自動車に蓄電された直流の電気を家庭
に送る際に交流に変換するものである。
導入を加速するために
通常、太陽光発電設備/V2Hを導入するには初期費用がかかってしまうが、
導入しやすいようリースで提供できるようにした。
ただ、リースでは国の補助金の活用ができないため、購入を希望される場合
は通常より低利で融資してもらえるよう、SDGsに取組む地元の地銀と連携し
た。
今後の検討課題
導入を判断するためには、導入前後のコストがどうなるのかを提示する必要
がある。
現在V2Hは補助金承認待ちのため、設置は8月になる予定である。
V2H導入後は、電気自動車の電力消費も加わってくるため、それを加味した
情報を早期に提示したい。